邂逅の森 (文春文庫) |
時代に翻弄され、地域の因習につまずき、
荒ぶる自然に棲みかを求め、北へ北へと流浪する その姿はまるで獣 静寂の闇は大地に生きるものの一瞬のやすらぎ 読者の下半身までがうずき獣と化す 尚、付属解説「人生の喜び、よき邂逅」 田辺聖子の推奨文は超絶品! 過去これ以上の推奨文を読んだことはありませんでした。 |
相剋の森 (集英社文庫) |
現代に生きるマタギたちを題材にした作品。
「山は半分殺(の)してちょうど良い」 「クマを食べなくても今の時代は生きてゆける。 飽食の時代に、なぜクマを追い、クマを食うのか」 ツカミは強烈だった。 しかし、けっきょく尻すぼみになってしまった。 理由は、ツカミにたいして、物語の中でじゅうぶんに答えを示して いないからだ。 おそらく、答えは「山に暮らす人々が自然に対してどういう意識を 持って暮らしているか」を深く描くことによって、もたらされるような 気がする。が、ざんねんながら浅い。描ききれなかったようだ。 読者が期待する事、いちばん読みたいと思う事から逃げないで、 正面から取り組んで欲しいと思った。 |