6 BLIND BEAST
千羽鶴 [VHS] |
女の情念のおどろおどろしい作品。川端康成ノーベル賞受賞記念作品で、平幹二朗・京マチ子・若尾文子と豪華メンバーだが、平は終始思いつめているし、京は蛇のような女だし、若尾は心臓を病んでいていつも息が荒い、といった印象。かって父の愛人だった二人(京と若尾)を憎む息子(平)の物語だが、全く救いがないので観た後に気分がどんよりした。 |
黒い十人の女 [DVD] |
ストーリーよりもむしろ見るべきは画面構成と女優の美しさである。画面構成の美しさは
最近テレビで見た「デスノート」とは雲泥の差。そして、岸恵子と山本富士子の美しさは もうそれだけでDVDを買った価値ありと十分思わせるもの。加えて船越英二の飄々とした 演技も見物です。 |
女経 [DVD] |
「耳を噛みたがる女」(増村保造監督、主演:若尾文子)、「物を高く売り付ける女」(市川崑監督、主演:山本富士子)、
「恋を忘れていた女」(吉村公三郎監督、主演:京マチ子)のオムニバス映画。 崑監督曰くこの作品は大映の企画で製作され、監督・主演女優ともに年功序列的なセレクトだったそうです。 とにかく自分たちで存分に愉しいものを作るということがコンセプトにあったとかで、四の五の言わずに見れる、 見ていただきたい作品だそうです。 増村監督の作品はとにかくテンポが良く軽快。彼の初期の作風そのままって感じで見ていてあっという間。 増村監督作品に欠かせない左幸子の脇役も本当に巧いです。 崑監督は正直前半退屈でしたが、中盤からグググと面白さが増して後半まで見ると実に濃厚且つ秀逸な映画的作品でした。 見終わって感じたのは「3本中一番良いかも」。 吉村監督は相変わらず光の使い方が特長的だなと思いつつ、京マチ子との息のあった演出がやはり見もの。 演技はピカ一、3人の中では一番安心して見れます。 前半は蓮っ葉な京都女なんですが後半で魅せる女性らしさが実に妖艶でひきつけられます。 カメラは宮川一夫さん。 とにかく映画ファン、特に60年代の日本映画が大好きな方には間違いなくお薦めできる一本です。 |
第15作 男はつらいよ 寅次郎相合い傘 HDリマスター版 [DVD] |
お馴染みの「とらや」を舞台とした登場人物面々と寅さんとの、人情をしっかり核にしたやりとりがおもしろおかしく、それにまたかなしい。
この映画を観ていると、その心を許した関係に起きる、ときにそれに甘えたり、我がままな馬鹿げたやりとりの中にも、その話につきあう僕らの情と心のありかを、ふと確かめたりしてしまうこともあるように感じる。 二十歳前後のころに劇場で観た「男はつらいよ」シリーズは、その頃もっとも脂の乗った「寅さん」でもあり、毎年「キネマ旬報」のベストテンに入るほどの出来映えでもあった。その頃「三本立て寅さん映画祭り」のような企画に通ったこともあった。 朝丘ルリ子が再登場のマドンナ二作目「相合い傘」は、シリーズの中でも、けっこうリアリティのある寅とマドンナとの関係性が、ヒリヒリするほど伝わる作品だ。やはりこの映画は、マドンナ役の力量と設定に大きなウエイトがあると改めて思いいたる。 また朝丘ルリ子という女優の巧さが、温美清のこなれた柔軟な演技と絶妙に絡み合っていて、他のシリーズに時々物足りないと感じさせるマドンナとの関係性の現実味に、しっかり重みを与えている。それゆえ、ふたりの別れはいつにもまして哀しい。 初期から中期の作品にこうして再会すると、まだ若くて元気な寅さんの迫力が、この映画の生命力そのものなのだと思われた。 温美清という人は、スクリーン以外の場面では穏やかな枯れた話し方をする人だったのが印象的だった。 ぼくが観たマドンナとして記憶に残る名作は、この朝丘ルリ子さん出演作、佐藤オリエさん出演作、それから逆求婚されそうだった寅の慌てぶりが、かなしくおかしい八千草薫さん出演作、人気シリーズ吉永小百合さん出演作、新人で抜擢、当時のアイドル榊原ルミさんの、無垢な瞳の演技で強い印象を与えた作品(寅次郎奮闘記?)・・当たりがなつかしく思い浮かぶ。 |