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雪之丞変化1935




雪之丞変化 [VHS]
冒頭の旗と町民の撮り方からして凄いですね。これこそが映画的な空間という造形力で圧倒される。
とてもじゃないがいわゆる昭和10年というイメージに収まりきる映画ではありません。
豪華舞台セットをくまなく活かして見せる圧倒的な演出手腕、母の亡霊を見せる際の大胆さ、とにかく映画的に凄い。
無声の活動写真時代から音を持った映画へ、一歩一歩未開の地に足を踏み入れる鮮烈な映画美がここにはある。

評論家の故・淀川長治氏は溝口健二と衣笠貞之助をしばしば並べて、日本で唯一画面に詩のある監督として賞賛しました。
溝口健二はフランスのカイエ誌とその影響下にある日本のシネマ69誌の面々に選ばれた監督ですが、衣笠は選ばれませんでした。
今日の溝口・衣笠の評価の甚大な隔たりはそこに起因していますが、その現状が正しいものではないことがこの映画を見れば納得できるはずです。
衣笠貞之助が映画史に屹立する紛れも無い大監督であることを証明する作品のひとつがこの『雪之丞変化』です。

ただそれだけに再編集せずにそのまま残しておいてほしかったとは思います。(現在残っているものは1952年に再編集した版)
ところどころに入る男声ナレーションの説明がどうも映画の流れと合わない気もします。

私は林長二郎こと長谷川一夫の女形の頂点はマキノ正博監督『男の花道』(昭和16年)だと思います。
『男の花道』での長谷川一夫はこれでもかというくらい女・女・女で演じ抜いており、なんなんだこれは・・・とあっけにとられます。その細部にわたる工夫と技量の練磨は今後どのような役者であっても到達できない境地でしょう。伝統芸能の粋と大衆芸能の明るさが完璧に融合した傑作です。
『男の花道』を見なければ映画における女形とは本当はどういうものなのか誰にも分からないでしょう。
この『雪之丞変化』に興味を持たれた方は是非合わせてご覧ください。

紛れもなき日本映画史上の傑作である、『雪之丞変化』も『男の花道』もいまだDVDになっていません。
一刻も早いDVD化が待たれます。

 

時代劇マガジン Vol.17 (タツミムック)
 現在公開中の映画『椿三十郎』(監督・森田芳光、主演・織田裕二)の特集が組まれていたことで創刊から5年目にして今回初めて読破した次第である。以前から気になる特集記事に関してはよく目を通しており、今号で『椿三十郎』による製作総指揮・角川春樹氏、監督・森田芳光氏、主演・織田裕二氏のインタビューで角川氏のリメイク権取得に至った事や森田氏を監督に決定した経緯、森田氏と殺陣師の対談で黒澤明監督の『椿三十郎』に対抗し、殺陣の間合いや呼吸、音へのこだわりへの挿話、織田氏の“椿三十郎”というキャラクターへの思いや意気込みが熱く感じられました。

 また2008年秋公開予定の『次郎長三国志』で叔父・マキノ雅弘監督の往年の作品のリメイクに挑む監督・マキノ雅彦(津川雅彦)氏や主演・清水の次郎長役の中井貴一氏のインタビューや撮影現場リポート、共演者も鈴木京香、岸部一徳、笹野高史、北村一輝、温水洋一、大友康平、高岡早紀、木村佳乃、前田亜季、長門裕之、荻野目慶子、竹内力、佐藤浩市(以上敬称略)といった錚々たるオールキャストの大型時代劇で必見であろう。

 他にも豊臣秀吉の正室であり、戦国の乱世を生き抜く女・淀君(茶々)の波乱に満ちた半生を描いた現在公開中の映画『茶々-天涯の貴妃(おんな)』(監督・橋本一、主演・和央ようか)や今まで幾度となく映画化されてきた人気のダークヒーロー“座頭市”が女性となって蘇える『ICHI』(監督・曽利文彦、主演・綾瀬はるか、2008年公開予定)も楽しみである。

 最後に『必殺仕事人』で錺(かざり)職人の秀役で人気を博した三田村邦彦氏のインタビューで本当は人殺しの役が嫌で撮影期間中、夢にうなされたり、身体に発疹が出るなど当時の苦労話を語られていました。それでもプロデューサーの一言が三田村氏の気持ちを変え、『必殺』が長寿の人気シリーズとして支えられたことがよくわかりました。


 

NHK正月時代劇 雪之丞変化 (2枚組) [DVD]
義経のときと同じ監督が滝沢さんの魅力をうまく引き出してくれています。
脇を固めるベテラン俳優陣とのコンビネーションもよく、また、黛監督が「和服を着た現代劇にならないよう、時代考証を大切にしている。」とおっしゃっているように、違和感のない時代劇に仕上がっていると感じました。
個人的には、闇太郎がもう少し元気があってもいいかな、という気がしないでもありませんが、義賊ですから品のある闇太郎も悪くはないかと。
ラストの闇太郎の表情は秀逸です。滝沢さんは、こういった「いろんなものを背負った男の表情」を演じるのがうまいので、このシーンだけ何度も繰り返して見てしまいました。
歌舞伎シーンも、滝沢さんの頑張りが伝わってきます。
丁寧に作られた、いい作品だと思います。

 

雪之丞変化 [DVD]
 きれいですね。長谷川和夫もよかったけれど、こちらもようござります。良くも悪くも「東映時代劇」ですから、チャンバラが見せ場なのかも知れません。
 橋蔵の殺陣は、腰が少しあとから来ます。これって、日本舞踊の女形独特の動作ですから、「音羽屋!」って思いながら観るのも楽しいですね。

 

競艶雪之丞変化 [DVD]
かつて長谷川一夫が演じて大当たりしたという雪之丞に弱冠20歳の美空ひばりが挑んだという意欲作。若い娘の設定に置き換えられて無理のない等身大の雪之丞であり、闇太郎がどことなく少年っぽいのがかわいらしい。しかしながら雪の母で悪代官に手篭めにされ殺される年増役が20歳とは思えなく、意外に良い。(シーンはそう多くないが)

ここでひばりはいくつもの歌舞伎をかなり本格的に演じている。それにも精進が見て取れる。「二十四孝」の姫や「弁天小僧」のようにいろいろな分野に意欲的で今後の可能性が無限だったと思い知らされる。
上映は3時間の大作であるが、3週間足らずでとり終えたとは脅威である。やはりものすごい才能であるといえよう。

ただし相手役がない(共演者は誰だったのだろうと思ってしまう)一人舞台であるのが残念。
余談ながら、名プロデューサーだったお母さんが、
「ひばりの三役だから、ギャラも三人分」 といったとか?本当かな?
そんな裏話も残っているほどの独り舞台フルスロットルの作品で必見。


 

雪之丞変化 動画


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雪之丞変化 情報