![]() ベスト・オブ・ビクター・ヤング |
1950年代の映画のシーンがよみがえる素晴らしいストリングスのひびきは いまではクラシカルな落ち着いたひとときを与えてくれます。 特に 紅の翼の 口笛の響きは たまりません。 |
![]() エデンの東 [DVD] |
この映画を見て感じたのは、時代や文化が変わっても人間の考えることはあんがい同じだなあということである。
誰もが善人だと思い、自分でもそう信じ込んでいる父親アダム、彼が寵愛する兄のアロン、父親に愛されなくて、それゆえに反抗する弟のキャル(ジェームズ・ディーン)、アロンの婚約者でありながら次第にキャルに惹かれるアブラ(ジュリー・ハリス)、一家を捨ててしたたかに商売をしながらも、キャルとの再会後に母親としての感情を思わず出してしまうケイト、彼らの愛憎を最初はゆるやかに、次第に速度を上げ、最後はジェットコースターのようにラストシーンに物語は突き進む。 この映画の本当の主人公はキャルではなくてアブラだ。草原でキャルに自分の苦い少女時代の体験を打ち明けるシーン、観覧車で思わずキャルにキスを許すシーン、父親から誕生日の贈り物を拒否され嘆き悲しむキャルを慰めるシーン、そして脳卒中で死に瀕した父親とキャルとを何とか仲直りさせようとするシーン、そのどれもがごく自然でありながら全身を使ったすばらしい演技であり、観る者をスクリーンに引き込もうとする。 ジョン・スタインベックの原作は大河ドラマであり、映画はその最後の章を使ったにすぎない。アロンとキャルも映画に比べて公平に描かれており、アブラの慈愛あふれる描写もない。 「完全な善人などいない。しかし誰でも心がけ次第で善人にも悪人にもなれる。大切なのは他人をおもいやること。」映画で言いたかったことはこの一言に尽きる。 「大衆は何を欲しているか。」エリア・カザンは熟知していたと思う。難解な原作を「誰にでも分かりやすく、感動的に演出した」ところに、彼の巧さと狡さがある。 |
![]() エデンの東 新訳版 (1) (ハヤカワepi文庫) |
カリフォルニアのサリーナス盆地にアイルランドからやって来たハミルトン一家と、コネティカットのトラスク家(後にアダムの代にサリーナス盆地に移住)の家族三代の物語。
物語のスケールの大きさと展開の面白さ、登場人物の個性豊かさ、また、作者の自伝的要素が濃い作品であることも興味を惹く等々、何度読み返しても面白く新しい発見がある。 一部は、サミュエル・ハミルトンが移住してきたサリーナス盆地の描写から始まる。 そして、コネティカット州の農家の息子に生まれたアダムとチャールズ兄弟の確執。良心を持って生まれてこなかったようなキャシーの登場と、テンポよく飽きさせずに進んでいく。 小説という枠からはみ出した面白さがあると思う。 |
![]() エデンの東 新訳版 (2) (ハヤカワepi文庫) |
作中で中国人リーは語る、アメリカ人は腰の落ち着かない人々の子孫です。神経過敏な人、犯罪者、口論好き、喧嘩好きの子孫です。でも、同時に勇敢で、独立心が強く、寛大な人々の子孫であります。祖先がそういう人でなかったら、旧世界の猫の額ほどの土地にしがみつき栄養不良の土地をたがやかしながら、餓死していたことでしょう。
サミュエル・ハミルトンとサイラス・トラスクはそのアメリカの光と影を象徴するように第一部で登場するが、この第二部ではサイラス・トラスクの息子アダムがサリーナスに入植し、そこでサミュエル・ハミルトンそして妻となる悪女キャシーと出会う。作品は一気に面白い展開を見せ、息もつかせぬ展開となる。 サミュエル・ハミルトンとの登場シーンはみずみずしく楽しく、豪快に、キャシーの出現では、一転、怪奇ミステリー小説を読んでいるかのように場面場面で、めまぐるしくトーンが変化していく。驚くのは、そのような変化をいとも軽々しく成し遂げていく作者の文筆家としての力量であろう。 サミュエル・ハミルトン、そして中国人召使リーに肩入れしながら、一気に話に引き込まれた第二部であった。 |
![]() エデンの東 新訳版 (4) (ハヤカワepi文庫) |
作品は、第4部で青春小説としての色合いを強めながら大団円へと向かう。
作者は冒頭で、物語はひとつしかない。すべての小説も詩歌も、人の内部で善と悪が際限なく戦いを続けていることから生まれると説く。作品はキャルはアロンそして、その父であるアダムとチャールズをとうして繰り返される善と悪、そして父と子の葛藤を描き、人の原罪とその重さを描こうとしている。 ただ一方で作者は、作品の中で、キャルはアロンそして恋人のアブラが作者の意図と関係なく自由に動き回るのをコントロールできてていないように感じられる。 このことが、文学作品として失敗作との刻印の理由になっているように思われる。 しかし、この結果、作中人物が実に生き生きとしており、小説の魅力は格段に上昇している様に感じられる。 同様のことは作品全体でしばしば起きており、リーがサミュエルが、そしてキャシーが、作者のコントロールを離れて作品全体で実に生き生きと勝手に動き回っているのだ。 文学としてはnoかもしれない、でも本を楽しみたい読者にはもちろんyesであろう。 おもちゃ箱のようにいろいろな要素がつまり、そしてなによりも魅力的な登場人物に出会える本書を、読書好きの人すべてに推薦します。 とても、楽しい時間を本書は必ずあなたに過ごさせてくれるはずです。 |
![]() エデンの東 [VHS] |
エリア・カザン監督がジェームズ・ディーン主演で映画化。第二次世界大戦終了後の作品。旧約聖書からカインとアベルの物語を借りて3世代にわたる2家族の歴史を描く。AdamとEveが主なる神の命令に背反(disobedience)して,蛇(serpent)にそそのかされて,善悪の区別の智慧の実(tree of knowledge)を口にしてしまい,神の戒めで楽園(Edenから追放される失楽園(paradise lost)の説話が記された『創世記』(Genesis)において,聖アウグスティヌス(St.Augustine)が主張した原罪(original sin)が題材。不朽の名作でしょう。文学作品の教養が深い監督で,劇作家Tennessee Williamsの A Streetcar Named Desire『欲望という名の電車』という1947年の作品を1951年に映画化、後に God Fatherで不動の地位を築く若きマーティン・ブロンドを一躍スターダムに乗せる。しかし私生活では、トルーマン大統領下におけるMcCarthyism(1950年代のアメリカにおける共和党上院議員J.R.McCarthy主導の極端な反共主義・反共運動)に象徴される「レッドパージ」(赤狩り)というアメリカを襲った社会的騒動の中での“ある行動”が全米で賛否両論を醸し出す。この「レッドパージ」で当時Hollywoodの10人の有名な脚本家が犠牲。アメリカの映画界では今でも彼の映画人としての功績を支持する人間と、この事件ゆえに支持しない派に分かれている。
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