Moving Pictures |
1982年の作品です。比類なきテクニックをもちながらもキャッチーな曲作りで、クリムゾンやイエスなどのプログレ集団とは一線を画す彼らの80年代の代表作ではないでしょうか。個人的には「YYZ」をリアルタイムで聴いたときは「何て格好いい曲なんだろう」と驚いて、誰がプレイしているかを必死になって調べたものです。ALEX LIFESONのギターは当時一世を風靡していたアラン・ホールズワースばりのヴォイシングで新境地を見せています。 |
Power Windows |
"Signals"、"Grace Under Pressure"と生みの苦しみを経て、ここで80年代ラッシュの音楽が開花しました。どの曲も非常によく練られていて、聴く度アレンジの新たな発見があり驚かされます。このアルバムのコンセプトは「力(power)」であり、様々な形式の「力」についてより簡潔かつ深遠になったニールの歌詞と感心させられるくらい練られた曲で見事に一つの世界を構築しています。冷静に聴いてみると、若干シンセサイザーのアレンジが凝りすぎかなと思うところはありますが、どの曲も素晴らしくイチオシのアルバムです。 私はドラムをやっていて、高校時代にはハードロックやへヴィーメタルにどっぷりはまっていたのですが、ひょんなことでこのアルバムを借りて1曲目の"The Big Money"を聴いたとき誇張ではなくハンマーで頭を殴られたかのようなショックを受けました。アルバムを聴き終わった時には自分の世界がすっかり変わってしまったかのようでした。その演奏能力の高さとアレンジの素晴らしさ、そして曲の質の高さは当時の自分にとってはまさに驚異でした。それ以来自分の音楽の好みはすっかり変わり、ドラマーのニール・パート(正しくはピアートと読むらしいですが)が自分のアイドルになってしまいました。 このアルバムは"2112"や"Hemispheres"あたりが好みの方々にとっては評判があまり良くなく、聴かない人も結構いますが音楽的には(作曲、アレンジ、表現力、洗練度といった点ではということです)私は昔の作品群よりもむしろ上なのではないかとすら思っています("Moving Pictures"は除く)。「シンセが多くてポップだ」「軽い」「昔の「美」がない」などの理由で聴いていなければ、是非是非一度ヘッドフォンで聴いてみて下さい。その緻密に練られた音楽に圧倒されると思います。 |
Permanent Waves |
珍しくもカナダ出身のプログレッシブ・ロック・バンド。本作では前作までの大作主義を捨て、より親しみ易い路線へと方向転換した。とは言え、三人の超絶の技巧は健在で、変拍子を多用した独特のサウンドも相変わらず光っている。
「Spirit of Radio」はシングルとして初のヒットと言っても良く、彼らの名を一躍音楽シーンに押し出した。この他、「Freewill」、「Entre Nous」等、名曲が多い。彼らの技巧と斬新なアイデアを活かしながら、より親しみ易いサウンドで幅広いファンを掴んだと言える。 Rushの最高作と言える次作「Moving Pictures」への道筋を作ったと言える傑作アルバム。 |